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リゾートホテルのような施設も!世界8つのユニークな刑務所

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(著) (編集)

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8300 from Pixabay
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 刑務所は罰を与える施設なのか? それとも更生施設なのか? その解釈は国や文化によって違いがあるようだ。

 たとえば世界でもっとも受刑者が多いアメリカの刑事司法制度は、報復(罰)に重点が置かれており、北欧では更生に力を入れている所が多い。

 どこの国でも犯罪率を下げることを目的としてはいるものの、様々な手法がある。ここでは世界8つのユニークな刑務所を見ていくことにしよう。

アランフエス刑務所(スペイン):受刑者が家族と暮らせる

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 懲役刑の影響は、受刑者のみならず、その家族にも及ぶ。そのために、受刑者の子供までもが犯罪に手を染めるという負のサイクルが形成されることがある。

 そこでアランフエス刑務所では、こうした問題に対応するために、受刑者が自分の子供と一緒に暮らすことを認めている。

 マドリードから40キロの南にある同刑務所には、ベビーベッド付きの部屋があり、子供は3歳までここで服役中の親と一緒に生活できる。

 部屋の壁にはディズニーのキャラクターが描かれており、刑務所というよりは普通の家のような雰囲気だ。

 託児所や運動場といった施設もあり、受刑者には育児や釈放後の生活についての指導が行われている。

ノルゲルハーフェン刑務所(オランダ):家具家電付きの快適な個室

Gevangenis Norgerhaven in september weer volledig gevuld

 ヨーロッパでも治安の良さで知られるオランダは、独自の方法で刑務所にまつわる問題に対処している。できるだけ混み合わないようにするのだ。

 ノルゲルハーフェン刑務所の受刑者は、トイレ、家具、テレビ、冷蔵庫付きの個室で快適な刑務所ライフをエンジョイできる。それどころか、野菜やニワトリを育てたりするスペースすら与えられている。

 快適すぎてついた名称が「豪華刑務所」だ。

 2015年にオランダ政府がノルウェーと受刑者受け入れ協定を交わし、ノルゲルハーフェン刑務所の受刑者を他の刑務所に移送する計画が持ち上がったとき、一部がこれを拒否して政府を訴えたほどの快適さだ。

HMPアディーウェル刑務所(スコットランド):民営の学習刑務所

HMP Addiewell

 元鉱山の町に2008年に作られた民営の刑務所。学習刑務所としての位置づけで、受刑者は釈放後の生活に備えて、問題行動の矯正や職業訓練を受けることができる。

 刑務所のサイトによると、受刑者は週40時間の「目的ある活動」を受ける。目指すのは就労の見込み、幸福、コミュニティの支援ネットワークを改善し、再犯を予防することだ。

 ただし、こうした対策によって暴力的な事件が完全になくなったわけではなく、2010年には小規模の暴動が発生し、スタッフへの暴行も定期的に起きている。

尾道刑務支所(日本・広島):高齢者専用

Rare access to elderly prisoners behind bars

 高齢化が急速に進む日本には、高齢者専用の収容棟を設けた刑務所があると海外メディアに報じられている。

 広島県、尾道刑務支所は、フロア全体に手摺りが備え付けられ、介護スタッフが駐在し、食事も高齢者向けのものが提供される。

 諸外国に比べれば比較的安全な日本ではあるが、高齢者による犯罪が増加中だ。身寄りがなく、仕事もない人たちの中には故意に再犯し、住居や食事が保証された刑務所に戻ろうとする――そんな現実があるようだ。

 身元引受人がいない場合、満期までいることができ、孤独で1人では暮らしていけない高齢者にとって、刑務所は福祉施設となっている一面もある。

オタゴ更生施設(ニュージーランド):職業訓練が充実

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 2007年にミルトンに設置された刑務所で、「ミルトン・ヒルトン」という別名で呼ばれる。

 485名の男性を収容可能で、大工、機械工作、仕出し、接客といった職業訓練のほか、300エーカーの酪農場で酪農を学ぶこともできる。

 床暖房完備で課外活動も認められており、こうした快適さが件の別名の由来なのだが、実情は噂とは少々違うようだ。

 ここ数年、受刑者やスタッフに対する暴行事件が頻発しており、警備員は催涙ガスを装備。また、ときおり武器や麻薬などの押収も行われている。

オルダーソン連邦刑務所(アメリカ):大学のような女子刑務所

Alderson Federal Women’s Prison-H.C.

 アパラチア山脈の丘陵に建てられた女子刑務所。受刑者は2棟の寄宿舎のようなところで服役しているが、その周辺にはのどかな田園風景が広がっており、どこかの大学といっても通用するだろう。

 ほとんどの受刑者は知能犯で、暴力的な人物ではないが、連続殺人鬼チャールズ・マンソンの信奉者で大統領暗殺を企てたリネット・フロムも服役していたことがある。

 料理本が人気を博し、日本ではカリスマ主婦として知られたマーサ・スチュワートがインサイダー取引の罪で服役したことで、「カップケーキ刑務所」と呼ばれるようになった。

セブ州収容・更生センター(フィリピン):踊る受刑者たち

Michael Jackson’s This Is It – They Don’t Care About Us – Dancing Inmates HD

 フィリピンのセブ島と聞けば、美しいリゾートを思い浮かべるかもしれない。だが、ある動画のおかげで別のことでも有名になった――大勢の受刑者がマイケル・ジャクソンのスリラーを踊る刑務所だ。

 セブ州の中心部にあるセブ州収容・更生センター(CPDRC)は、ここで紹介したほかの刑務所のように快適さがウリの場所ではない。

 施設内は受刑者がひしめき、衛生環境もお世辞にも良好とは言い難い。だが、ダンスの練習を取り入れており、ご覧のように魂を熱く燃え上がらせることができるのだ。

バストイ刑務所(ノルウェー):まさにリゾートホテル

Prison inmate: We get puppies, ice cream and flowers

 風光明美なプライベート・アイランドでのスキーやビーチのお散歩――これはリゾートの話ではない、刑務所の話だ。

 ノルウェーは先進的な刑事司法制度で知られているが、それを象徴するのがバストイ刑務所だ。

 セキュリティは最低限で、115名の受刑者は農業や家畜の世話、森林管理といった仕事を日々こなしている。が、それも8時半から15時半までのこと。それ以降は23時まで完全にフリータイムが認められており、バストイ島内なら自由に行動することができる。

 島にはフィットネスジム、図書館、サウナといった施設があり、水泳や乗馬、釣り、テニスといった活動を楽しむことだってできる。

 ただし、ここに来るにはまず別の刑務所に服役し、信頼と敬意に基づく生活環境でもきちんとやっていけることを身を以て証明しなくてはならない。

 なお、ノルウェーの再犯率は20%未満で、北欧で最も低い。

written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 20件

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  1. 刑務所が、福祉施設に成っては成らない。

    • +24
  2. 刑罰としての刑務所の部分からすると非常に違和感を感じる
    再犯率を下げる目的からすれば確かに効果があるかもしれない

    後者は受刑者にとっては有益でも被害者からしたら不愉快でしかない
    社会にとって有益で還元できる手段があれば別かもしれないけど

    いずれにせよ凶悪に分類される人間は隔離か処分が妥当だと思う

    • +16
  3. 介護士の同僚だった人が東京で刑務所への訪問介護してる人がいる。訪問介護にも回数や時間など受刑者さんがヘルパーさんに頼める回数に限界があって、手が足らなくて色々大変な状況があるんだよね。考えさせらた。

    • +5
  4. 罰を与えるののではなく間接的にコントロールする手法か…

    • +6
  5. 日本はいかにもお役所的。刑務所も刑法も見直す時代にきてるのに 仕事柄普段から見てると年々全体的に酷くなってるよ。

    • +5
  6. 刑務所よりも酷い生活してそうな貧乏な人多そう
    そんなんじゃ犯罪に走る人は増える

    • +22
    1. ※6
      高齢になるほど頼りなる施設。老後の生活の心配、。介護、、死後の手続きもお任せ。

      • +2
  7. 更生を主眼においた刑務所には大いに賛成
    刑罰の目的は国家による復讐代理ではない
    復讐自体が何も生み出さない
    現在の刑罰の目的は抑止、隔離、更生
    刑務所が快適では抑止にならないと思う人がいるかもしれないが
    自由を奪われる点や犯罪履歴が残る時点で抑止力はある

    • +3
    1. ※7
      復讐が何も生み出さないから、じゃ被害者は納得できないよ。
      何のために私的な復讐ではなく法に裁きをゆだねるのか。
      一般人では難しい凶悪犯罪者への報復を、国家にやってもらいたいからだ。
      少なくとも、ひどい犯罪を起こした者に快適な施設暮らしなど
      被害者・遺族・関係者は絶対にしてもらいたくないだろう。

      • +15
      1. ※11
        復讐は何も生み出さないし被害者の心を癒やす事もありません
        殴られて殴り返しても、殴られた痛みは消えません
        親族を殺害されて相手を死刑にしても被害者は生き返りません
        被害者家族の一番の望みは亡くなった人を返してくれ、という事
        それは残念で残酷ですが叶いません
        復讐で得られるのは一時的に溜飲が下がる気持ちだけであって癒やしにはなりません
        溜飲が下がる事が最重要な人もいるかもしれませんが、それは全ての人にはあてはまりません
        だから刑罰は国家による復讐代行ではないのです

        • -13
      2. ※11
        被害者感情を優先して更生を重視しない刑務所にすれば
        再犯率は上がる、もしくは下がりません
        これは更生を重視した刑務所を採用した時と比較すれば、再犯による新たな被害者が増えている事になります
        被害者や被害者家族の方には申し訳ないのですが、被害者感情よりも再犯による新たな被害者、犠牲者を減らすのが最優先事項なのです

        • -10
    2. ※7
      レッド「最初は憎む。だんだん慣れてくる。時間がたつと頼るようになっちまう。それが刑務所慣れってやつさ」

      • 評価
  8. 抑止としては処刑場や拷問部屋みたいなビジュアルの方が良いんじゃないかな

    • -4
    1. ※8
      逆にピンクの可愛らしい刑務所が前紹介されてたよ
      受刑者からクレームきてるから効果ありそう

      • +9
    1. ※10
      あんさん、そんな浮いた話やおまへんで

      • 評価
  9. わが国でやっても新幹線殺傷事件犯人みたいなやつが増えるだけ

    • +5
  10. 刑務所の環境や待遇が再犯率に影響がある事は知られているが、しかし実際には「どういうタイプの犯罪者なのか」も見ないと意味が無いことはあまり知られていない
    実際ノルウェーの刑務所システムでも、大抵の受刑者にとっては再犯率の低下の効果があるのは確認されている一方で、何回でも再犯する奴を更正できた例は無いという両極端な結果も指摘されている
    これは「刑務所で人の温かさに触れたので人間らしさを取り戻せた」タイプの受刑者には更正のきっかけになるのに対して
    「刑務所に入ってもデメリットを感じないから犯罪行為にリスクが存在しない」タイプの受刑者は意味が無いし、そういうタイプは「悪い事をしたら罰を受ける」という基本的で当たり前の倫理観が抜け落ちている
    要するに甘やかされて増長したクソガキがそのまま大人になったような奴は恐ろしい刑務官に怒鳴られ殴られ、他の受刑者らに囲まれてリンチされないと自分が無敵であるという幼稚な万能感や勘違いが治らないということで
    これは40年以上前のアメリカで既に実例とともに結論が出ているのだが、最近はどうも忘れられている傾向にあるようだ…

    • +13
  11. 欧米人の感覚では一か所に留め置かれて自由に移動できないだけで十分に刑罰なんだそうだ そこが快適かどうかはその次の話 

    • +1
  12. 被害者は納得いかないと思うが、罰よりも社会復帰できるよう矯正が必要
    前科者を受け入れるのは抵抗があるだろうけど放置してどうなる
    隔離しておけ強制労働しろ殺せというが詐欺や窃盗も含めて全員死刑や無期にすることなど出来るわけがない
    では死刑や無期にならず出てきた前科者がまともに働けるくらいの教養持ってないと空腹でまた繰り返すだけ
    なんの教養もない前科者が面接に来ても採用するか?
    昔はヤクザがそういう落ちこぼれの受け皿になってたがもはや暴排条で虫の息
    落ちるところまで落ちた人間は繰り返すぞ

    • -1

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